念仏為本
提供: 新纂浄土宗大辞典
ねんぶついほん/念仏為本
広本や親鸞系統の『選択集』の巻頭に記される言葉。もとは源信著『往生要集』第五大門「助念方法」に「往生の業には念仏を本とす」(浄全一五・一〇八上)とあるのによる。『選択集』四(聖典三・一二七)の「助正」義において、念仏こそが「正行」であり「所助」であると示すために引用される。『徹選択集』上(聖典三・二八五)の法然伝語や『決疑鈔』(浄全七・一九〇下)には「為先」と「為本」とが並び記されており、法然および聖光・良忠は同義と解釈していたようである。良忠は「ゆえに広本には念仏為本と云う」と記しており、実際に現存する龍谷大学蔵延べ書き広本にも「為本」とある。また親鸞は『教行信証』化身土巻末において、自らが『選択集』を書写する際に、法然が「念仏為本」と書き入れたと記録し、行巻にも同様に引用している。それに従い、大谷大学蔵禿庵文庫本など、親鸞の系統の『選択集』には「為本」と記されているものが散見する。
【参照項目】➡念仏為先
【執筆者:齋藤蒙光】