心具不生義
提供: 新纂浄土宗大辞典
しんぐふしょうぎ/心具不生義
三心を具えても極楽へ往生できない場合があるという説で、道光・明心(尊観の弟子)等が主張した。道光は『観経』に説かれる「具三心者必生彼国」の文について、「三心具足の念仏は必ず往生できるが、三心を具足していても、雑行の場合は往生不定である」(浄全八・五四)と述べる。反対に、尊観・良暁は、念仏と諸行とを問わず、三心を具足する者は必ず往生するという三心為本の立場を示し(浄全一一・六六四/五七三)、聖冏は、道光の説を「邪義」として破す(浄全一二・七八六)。
【資料】尊観『浄土十六箇条疑問答』、道光『選択集大綱抄』下、良暁『浄土述聞見聞』、聖冏『心具決定往生義』、『総系譜』(浄全一九)
【執筆者:米澤実江子】