宿業
提供: 新纂浄土宗大辞典
しゅくごう/宿業
宿世(前世・過去世)につくった善悪の業のこと。『観経疏』定善義に「ただ勢志と宿業、縁有る者のみ、すなわちこの光を覩触することを得ることを明かし」(聖典二・二七七/浄全二・五一上)、『四十八巻伝』三三に「上人左遷の罪に当たり給いぬる事、如何なる宿業にて斯かる事を見聞くらんとて、勅勘を蒙り給える上人は、御歎きいとなかりけるに、禅閤の御悲しみ浅からざりけり」(聖典六・五四七)とあり、前者は善の宿業、後者は悪の宿業の用例である。宿世の悪業の意味で使用されることが多く、特に善業を表現する場合は宿善の語を用いる。宿善がないことを無宿善といい、浄土真宗においてはこの宿善の有無を重視している。
【資料】『俱舎論』三(正蔵二九・一五中)
【参照項目】➡業
【執筆者:大屋正順】