前世また過去世のこと。「すくせ」とも読む。Ⓢpūrvaなどの訳語ともなる。仏典には宿世の行為の結果が現世に与えた影響を様々に説く。例えば『無量寿経』には「世間の帝たい王の、人中に独尊たる所以ゆえは、皆宿世、積徳の致す所に由る」(聖典一・二四五/浄全一・一七)と説き、人々の中でも帝王が尊いのは宿世に積んだ徳によるとされる。またこのような過去世になした善悪の業を宿業といい、その善なるものを宿善、悪しきものを宿悪という。
【参照項目】➡宿業
【執筆者:石田一裕】