善導十徳
提供: 新纂浄土宗大辞典
ぜんどうじっとく/善導十徳
一巻。法然撰。高祖善導の徳を讃歎したもの。正徳版『漢語灯録』九では二門に分別され、第一垂迹門は灌頂が『法華玄義』「私記縁起」で智顗を讃歎した天台十徳に準じたもので、『続高僧伝』『瑞応刪伝』『新修往生伝』を論拠として、至誠念仏徳、三昧発得徳、光(仏)従口出徳、為師決疑徳、造疏感夢徳、化導盛広徳、遺身入滅徳、帝王帰敬(敬徳造寺)徳、遺文放光徳、形像神変徳の一〇種を挙げ詳説しており、第二本地門では善導を阿弥陀仏の化身として讃歎している。古本『漢語灯録』では第三観心門があり、垂迹・本地・観心という三門分別となっているが、これは日本天台の所説であることから、法然撰に疑義が提示されている。
【所収】昭法全
【参考】曽和義宏「善導の尊称について」(『佛教大学総合研究所紀要』一五、二〇〇八)
【執筆者:石上壽應】