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即心念仏安心決定談義本

提供: 新纂浄土宗大辞典

そくしんねんぶつあんじんけつじょうだんぎぼん/即心念仏安心決定談義本

一巻。『即心念仏談義本』ともいう。霊空光謙撰。享保一二年(一七二七)一二月作、同一三年六月刊。序に「享保一二年。臘月仲旬。謙霊空。幻々菴にて。書付さするものなり」とある。天台宗の霊空が善通寺の清堂の請に応じて即心念仏について著したもので、これに対し浄土宗では敬首きょうじゅ等が、西山派では殊意痴が反論し、一大念仏論争に発展した。本書の内容は第一「即心念仏の起りの事」、第二「即心念仏の四字の義理の事」、第三「即心念仏の申し様の事」、第四「即心念仏往生無生なる事」、第五「末世の要行は即心念仏なる事」、第六「即心念仏功徳利益の事」、第七「即心念仏回向発願の事」の七項目について構成されている。霊空は本書を著した翌年六月にも『即心念仏談義本補助記』一巻を著し、即心念仏の典拠を明らかにしている。本書では天台の念仏として、極楽浄土阿弥陀仏も心の中にあるとする「即心念仏」を提唱するだけでなく、善導法然念仏を批判している。これに対しての反論、すなわち西山派殊意痴は『即心念仏談義本弁惑編』一巻、鎮西敬首は『即心念仏摘欺説』二巻、西山派知空は『即心念仏浄土問弁』一巻、また天台宗内においても三井法明律院の性慶義瑞が『即心念仏談義本弁偽』一巻を著し反駁した。またそれに対して、霊空は『即心念仏安心決定談義本或問』等を著し反論している。


【所収】続浄一四、仏全九八


【参考】浅田正博「霊空・義瑞『即心念仏』論争考」(『大倉山論集』三四、一九九三)、福𠩤隆善「江戸中期における念仏論争」(『浄土宗学研究』六、一九七二)


【参照項目】➡即心念仏安心決定談義本或問


【執筆者:伊藤弘道】