五重聞書
提供: 新纂浄土宗大辞典
ごじゅうききがき/五重聞書
一巻。聖聡説・酉仰記。永享一二年(一四四〇)成立。増上寺二世酉仰は、永享一一年(一四三九)八月二一日に聖聡より璽書を受け、その翌年の六月六日に本書を著した。本書は、聖聡より授けられた口伝を酉仰が二三歳のときに記録したものである。内容は「初重」より「四重」に及ぶ伝法の肝要部分を所々、酉仰が注釈したものであるが、「第五重」における伝法由来についての記載は見られない。伝法史上において重要なテキストの一つである。
【所収】『伝灯輯要』上
【参考】林彦明『五重大会勧誡講録』(総本山知恩院、二〇〇九)、岸覚勇『大五重大意』(記主禅師鑽仰会、一九七二)、恵谷隆戒『浄土教の新研究』(山喜房仏書林、一九七六)、大谷旭雄編『聖聡上人典籍研究』(大本山増上寺、一九八八)
【執筆者:井野周隆】