五段法
提供: 新纂浄土宗大辞典
ごだんほう/五段法
江戸時代初期に真宗で創造された説教の型。天台宗の三周説法(法説・譬喩・因縁)を基に「讃題・法説・譬喩・因縁・結勧(結弁)」の五段法を作る。浄土宗では、「讃題・法説・譬喩説・因縁説・合釈」という型を作った。また、これに序説と結勧を加えた「讃題・序説・法説・譬喩説・因縁説・合釈・結勧」は七段法といわれる。これは『十二部経』(十二分教)の尼陀那(因縁)、阿波陀那(譬喩)に発し、天台宗の安居院流唱導を経て五段法の型が作られたものである。かつてこの型の修得が布教家の必須条件であった。浄土宗では、つとに讃誉牛秀の『説法色葉集』一〇巻(流布本『説法式要』一一巻)の巻一に説教の型を示唆している。談義、四事(声・弁・才・博)、八事(音・弁・行・徳・福力・智恵・慈悲・道心)などが導入され、譬喩因縁談を説教に用いるべきことも説かれている。
【参考】関山和夫『説教の歴史的研究』(法蔵館、一九七三)、大昌寺編『説法色葉集』(青史出版、二〇〇五)
【執筆者:関山和夫】