一念大利無上功徳
提供: 新纂浄土宗大辞典
いちねんだいりむじょうくどく/一念大利無上功徳
一念乃至一生涯の念仏によって得る大利益が、無上の功徳であるということ。『無量寿経』下の流通分に「仏、弥勒に語げたまわく。それ、かの仏の名号を聞くことを得ることあって、歓喜踊躍して、乃至一念せんに、まさに知るべし、この人、大利を得たりとす。すなわちこれ無上の功徳を具足す」(聖典一・二八四/浄全一・三五)とあることによる。法然は『選択集』五で、この文や善導の『往生礼讃』の文をふまえたうえで、一念は一の無上、乃至、千念は千の無上として、このように刻々に少より多に無限に展開されていくのが念仏者であることを示している。さらに、念仏が大利・無上であるのに対し、菩提心等の諸行は小利・有上であって、無上大利の念仏を廃して、有上小利の諸行を敢えて修することのないように誡めている。
【参考】石井教道『選択集全講』(平楽寺書店、一九五九)
【参照項目】➡一念
【執筆者:長尾隆寛】