一味の報土
提供: 新纂浄土宗大辞典
いちみのほうど/一味の報土
諸行往生の者は報土に生ずるかどうか、あるいは九品辺地はともに報土のうちであるかどうか、ということに関する九品寺流長西の説を示す語。浄土には九品の差別があると説かれているが、それは穢土で修行する衆生の機根の差別を示したものであり、それによって九品の行者が往生する際に来迎の差別が生じるものの、報土に往生した後は一味平等の世界であるが故に退転することがないとする。長西の教義を記した凝然の『源流章』には「念仏と諸行は皆な是れ弥陀如来の本願なり。所修の業に随いて皆な報土に生ず。一切穢土の修業の人に九品の別機有り。宜しく異なるが故に、九品行者俱に報土に生ず。機に随い、業に任せて来迎の別有り。生じ已わりぬれば即ち是れ斉同不退なり」(浄全一五・六〇〇上/正蔵八四・二〇〇下)とある。
【参考】石橋誡道『九品寺流長西教義の研究』(国書刊行会、一九八四)
【参照項目】➡九品
【執筆者:髙橋寿光】