住正定聚願
提供: 新纂浄土宗大辞典
じゅうしょうじょうじゅがん/住正定聚願
『無量寿経』に説く、阿弥陀仏の四十八願中第十一願の願名。道光『無量寿経鈔』による。義寂は「令住定聚願」(『無量寿経述義記』中、恵谷隆戒『浄土教の新研究』四二〇)、智光は「住正定聚必至菩提願」(『無量寿経論釈』三、恵谷隆戒『同』四七六)、良源は「住定聚必至菩提願」(『九品往生義』浄全一五・一六)と呼ぶ。自らが成仏した国土(極楽世界)の人天がさとりに至ることが確約された位(正定聚)にあるようにしたいという願。曇鸞は『往生論註』下で、速やかに阿耨多羅三藐三菩提を成就することができるのは、浄土に生じ、浄土の菩薩人天の起こす諸行がすべて阿弥陀仏の本願力に縁るからであるとし、その証拠として第十八願、第二十二願と併せてこの願を挙げる(浄全一・二五五下/正蔵四〇・八四三下〜四上)。『大阿弥陀経』には対応する願がなく、『平等覚経』『無量寿如来会』、梵本、チベット訳のそれぞれ第十一願、『無量寿荘厳経』第七願と第八願の一部が対応する。
【資料】道光『無量寿経鈔』三、義山『無量寿経随聞講録』上之二
【参考】香川孝雄『無量寿経の諸本対照研究』(永田文昌堂、一九八四)
【執筆者:齊藤舜健】