十地は『菩薩瓔珞本業経ぼさつようらくほんごうきょう』などに説かれる大乗菩薩の階位(十信・十住・十行・十回向・十地・等覚・妙覚)であり、この位に入って無明を断じて真如を証し、誓願と修行を完成させることをいう。善導『往生礼讃』には「専ら名号を称すれば、西方に至ると。彼しこに到れば華開きて妙法を聞き、十地の願行自然に彰あらわる」(浄全四・三七二上)とあり、極楽浄土に往生すれば十地の願行の徳が自然にそなわっていくことを説いている。これは四十八願中の第二二・必至補処の願にもとづく内容である。
【執筆者:工藤量導】