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十願十行

提供: 新纂浄土宗大辞典

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じゅうがんじゅうぎょう/十願十行

十称念仏の中に十の願と十の行が具わっていること。善導観経疏』玄義分に「今この『観経』の中の、十声の称仏は、すなわち十願十行有って具足す。云何が具足する。〈南無〉と言うは、すなわちこれ帰命、またこれ発願回向の義。〈阿弥陀仏〉と言うは、すなわちこれその行なり。この義を以ての故、必ず往生を得」(聖典二・一八二/浄全二・一〇)と説かれる。これは、摂論学派の「『観経』に説かれる十称念仏は願のみで行が具わっていないため往生の遠因に過ぎない」との別時意説に対して、称名には願と行が具わっており往生の直接の因であると反論したものである。法然は『選択集』二の五番相対の不回向回向対において、正行雑行に対して勝れていることの論証としてこの義を引用しているが、善導念仏に行が具足していると主張していたものを、法然念仏に願が具足しているという主張へと転換している。また、法然門下においては十願十行解釈に相違がある(『選択集全講』一二〇)。


【参照項目】➡願行具足別時意会通五番相対


【執筆者:木村迎世】