釈尊の徳を讃え礼拝する回向文。釈尊の十号のいくつかの名を称えて帰依を表明する文で、「稽首丈夫無所畏けいしゅじょうぶむしょい 稽首調御天人師けいしゅじょうごてんにんし 不可思議大法王ふかしぎだいほうおう 是故我今帰命礼ぜこがこんきみょうらい」。出典は『守護大千国土経』で、この偈文を何回も記している(正蔵一九・五八一下)。丈夫・無所畏・調御・天人師・不可思議・大法王である釈尊に稽首し、今帰依し礼拝するという意。『諸回向宝鑑』(二・三ウ)、『浄土苾蒭びっしゅ宝庫』(下・三九オ)に掲載している。
【執筆者:中野孝昭】