実相
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:26時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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じっそう/実相
ありのままの真実相のこと。「諸法実相」の用例のごとく、存在に関する本来的真相、形式、状態に直結した教理の重要概念である。ⓈdharmatāⓈtattvasya lakṣaṇamⓈdharma-svabhāvaⓈbhūta-nayaなどに対応して造られた訳語。鳩摩羅什が『般若経』『法華経』などで使用し、中国語として確立を見る。鳩摩羅什に続く仏駄跋陀羅、玄奘、菩提流支、曇無讖らが『華厳経』『般若経』『大般涅槃経』などで多用したことから、各宗における意味の多様化にも繫がった。天台宗では、諸法実相は十界互具を基調とした三千種世間ともされ、その三千種世間が一法に包含されるありよう(一念三千)を、三諦(空諦・仮諦・中諦)を承けた三観(空観・仮観・中観)によって観ずることが、基本的教理となっている。三論宗では諸法実相は空性をもって理解され、教理に反する実体的実相観が打破される。
【参考】白土わか「『実相』訳語考」(『大谷学報』一三五、一九五七)
【参照項目】➡諸法実相
【執筆者:中御門敬教】