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習気

提供: 新纂浄土宗大辞典

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じっけ/習気

何らかの存在や行為により、その場に残される影響をいう。特に煩悩を断じたのちも残存する煩悩の余勢を意味する。Ⓢvāsanāの訳語。伝統によって、「じゅって」「じゅっき」「じゅっけ」などとも読む。単に習ともいう。『大智度論』二七(正蔵二五・二六〇下)では難陀尊者が淫欲の習気のために阿羅漢道にあっても女性を意識したことなどを挙げる。声聞縁覚には完全に断ずることはできず、仏のみこれを滅するという。習気に対し煩悩そのものは正使しょうしという。法相宗では阿頼耶識あらやしき熏習くんじゅうされた染浄法の種子のこと。『成唯識論』二には「種子とは既に是れ習気の異名なり。熏習するに由て有り。麻の香気の華を熏ずるが故に生ずるが如し」(正蔵三一・八中)という。また『成唯識論』八(正蔵三一・四三中)によれば名言習気・我執習気・有支習気の三種に分類される。


【参照項目】➡熏習種子正使


【執筆者:小澤憲雄】