板碑
提供: 新纂浄土宗大辞典
いたび/板碑
主に緑泥岩を利用した板石塔婆。石製塔婆の一つで、青石塔が代表的なもの。頂上を山形に作り、その下に二段の切り込みと額部を作り、身部は上下に広く作り、供養の対象となる本尊を仏像または種子をもって表し、その下方に造立の願文、本尊を鑽仰する偈、願主名、年期などを刻んだものが多い。関東地方に多く見られ、鎌倉時代から室町時代にかけて追善や供養、逆修などの目的で作られた。板碑造立は地方豪族、僧侶から庶民と幅広い層によって行われた。板碑の起源については五輪塔より転化したもの、あるいは修験道の碑伝よりくるものなど諸説あるが、定説はない。いずれにしても民俗信仰との相関関係を示している。なお種子や仏像は阿弥陀仏がかなり多く、当時の浄土教の盛行を表している。
【参考】千々和到『板碑と石塔の祈り』(山川出版社、二〇〇七)
【参照項目】➡卒塔婆
【執筆者:池見澄隆】