精進
提供: 新纂浄土宗大辞典
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しょうじん/精進
一
仏道修行に邁進すること。ⓈvīryaⓅviriyaが相当。毘梨耶、毘離耶などと音写し、勤、進、勇猛などとも訳される。ひたすら努力して怠けることなく、仏道にかなった善行を勇敢に実践し続けることを意味する。四神足・五根・五力・七覚支などの一つに数えられる。ただし、八正道中の正(Ⓢsamyag-)精進の原語はⓈvyāyāma(Ⓢvi-ā-√yam「戦う」の派生語)で、Ⓢvīrya(Ⓢ√vīr「勇敢である」の派生語)とは異なる語源であるが、ほぼ同意に用いる。大乗仏教では、菩薩の修行徳目である六波羅蜜・十波羅蜜の一つでもある。また、精進は懈怠(怠けて励まないこと)や放逸(気ままでおろそかにすること)に相対する言葉で(『大智度論』一五、正蔵二五・一七三上~四上など)、法然も『選択集』八に「精進は懈怠に対する言なり」(聖典三・一五二/昭法全三三三)と釈している。
【参照項目】➡六波羅蜜
【執筆者:榎本正明】
二
仏道を勇敢に実践し続けることの意味から転じて、世俗の生活を捨てて仏門に入ることや、斎(一定の日に戒を守ること)などの一定期間、言語・行動・飲食を制限すること、身心を浄めて不浄を避けること、魚・肉類を食べずに菜食することなどを意味するようになった。このように一定期間身心を浄める意味から、精進潔斎、精進日などの言葉が現れ、魚・肉類を避けた菜食料理のことを精進料理、精進物などと言い表した。この精進の期間に入ることを精進入りといい、期間が終わって平生の生活に戻ることを、精進明け、精進落ちなどという。さらに用法が拡大され、一所懸命に努力すること、品行をよくすることなどをも意味するようになった。法然の時代にすでにこのような精進の意味が広まっていたことが『一百四十五箇条問答』(聖典四・四四九~/浄全九・一一八下~)に種々の精進について問答されることからも明らかである。
【執筆者:榎本正明】