一般に滋賀県大津市の地区名。延暦寺および日吉大社の門前町として古くから栄えた。『翼賛』一四には「坂本は大原のほとり叡山の西のふもとを西坂本と云、今赤山明神の砌みぎりなどを俗呼て西坂本と云、東のふもと山王の社のほとりをみな東坂本云、民屋両処にあり山に近きを上坂本、湖に隣となるを下坂本と云へり」(浄全一六・二三六上)とある。このようにひとくちに坂本といっても当時の認識としてはかなり広範にわたっていたものと考えられる。
【執筆者:曽田俊弘】