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西方直指

提供: 新纂浄土宗大辞典

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さいほうじきし/西方直指

三巻。一念著。明・万暦三五年(一六〇七)成立。本書は居士である一念が、浄土教の初心者のために著した書物。上巻は、浄土の因地・功果・儀式・願文・弁疑という五つの側面から論述される。浄土因地では、『無量寿経』に説く西方極楽浄土の成立について説明している。浄土功果では『観経』に説く極楽浄土往生正因と『無量寿経』に説く往生の功果を論じ、浄土儀式では往生するための念仏修行方法について説明し、浄土願文では袾宏発願文を通して極楽往生発願を示し、浄土弁疑では、『帰元直指』『十疑論』『無我論』等の大乗経論を取り上げながら極楽浄土の実在性を論じている。中巻では諸大乗経論を取り上げながら、浄土教の優れる点を説き示している。下巻では、諸大乗経論に説かれる読誦称名念仏持戒(口戒・婬戒殺戒)等、様々な往生の方法を紹介している。


【所収】続蔵六一


【参考】望月信亨『中国浄土教理史』(法蔵館、一九六四)


【執筆者:肖越】