在俗信者
提供: 新纂浄土宗大辞典
ざいぞくしんじゃ/在俗信者
在俗とは俗世間に留まる意味で、信者は特定宗教の信奉者をいう。仏教的には、在家信者のことをいい、出家者と対をなす言葉。広義には家に居住して生業をもち家庭生活を営みつつ、信仰生活を送る人をいう。狭義には、仏教教団の信者を修行僧を含めて七衆に分けるが、そのうち優婆塞(在家の男性信者)と優婆夷(在家の女性信者)の二種が在俗信者で、いずれも三帰五戒を受けたものである。優婆塞・優婆夷と出家者の比丘・比丘尼をあわせ四衆という。日本では、特に高貴な人が出家することを落飾といい、出家者が再び在家の生活に戻ることを還俗、帰俗、復飾などという。明治五年(一八七二)の太政官布告で僧の妻帯が自由になると、出家者と在俗信者の区別が曖昧化し、寺に居住するか否かをいうように変わった。
【参考】J.Wach : Sociology of Religion, University of Chicago Press,1944.
【執筆者:藤井正雄】