五重口伝鈔
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:23時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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ごじゅうくでんしょう/五重口伝鈔
一巻。聖聡説・酉仰記。文安四年(一四四七)三月一八日の成立。本書は、巻頭に「先ず聞き伝えに任せて私(聡誉)之を記す」(『伝灯輯要』上、一五三)とあることから、『五重聞書』と同じく増上寺二世酉仰が聖聡より相伝を受けた口伝について記録したものである。内容は、「初重」より「第五重」に及ぶ口伝について私釈を加えたもので、「五重聞書」と重複する箇所もあるが、全般的に私釈が増加している。特に「二重」の三心についての口伝箇所は、図解を示しながら、詳述されている。『五重聞書』とともに、伝法史の研究において重要なテキストである。
【所収】『伝灯輯要』上
【参考】林彦明『五重大会勧誡講録』(総本山知恩院、二〇〇九)、岸覚勇『大五重大意』(記主禅師鑽仰会、一九七二)、恵谷隆戒『浄土教の新研究』(山喜房仏書林、一九七六)
【参照項目】➡五重聞書
【執筆者:井野周隆】