極楽国弥陀和讃
提供: 新纂浄土宗大辞典
ごくらくこくみだわさん/極楽国弥陀和讃
千観作。成立年次不詳。『弥陀和讃』とも略称される。阿弥陀仏の浄土の荘厳を讃歎し、十悪五逆の罪人でも阿弥陀仏の御名を称えることで往生できるとし、阿弥陀仏の誓願を信じて往生浄土を願うべきことを謳っている。日本における初の和讃であるといわれ、珍海『菩提心集』に引用される(浄全一五・五〇七上~下)など、後世の浄土教者や後に作られた和讃にも多くの影響を与えた。千観と同時代の慶滋保胤が『日本往生極楽記』の千観の項において「阿弥陀和讃、二十余行を作り」(続浄一七・一〇上)と記しているが、原作の句数は異説があり明らかではない。
【参考】奈良弘元「千観の往生思想について」(壬生台舜博士頌寿記念『仏教の歴史と思想』大蔵出版、一九八五)
【参照項目】➡千観
【執筆者:沼倉雄人】