広島県廿日市市宮島町。華降山以八寺。広島教区№五六。天正一一年(一五八三)頃に、捨世派の名僧以八が開創。そこから通称、以八寺ともいう。町民の信仰のために建てられ、宮島で最初の檀家寺として今日に至る。寛政年間(一七八九—一八〇一)に島民に杓子の製法を教えたり、井戸を掘るなどして「宮島の恩人」とたたえられた僧誓真が修行した寺であり、境内横には遺徳を偲ぶ誓真大徳碑がある。鎌倉末期の様式を残す木造阿弥陀如来立像と絹本紺地金彩弥陀三尊来迎図(いずれも源信作)が国重要文化財に指定されている。
【資料】『伊都岐嶋』(厳島神社、一九九五)
【参照項目】➡誓真
【執筆者:佐藤和順】