献茶式
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:23時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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けんちゃしき/献茶式
仏前に茶を点じて供える儀式。供茶式ともいう。仏前に供するのを供茶、神前に供するのを献茶という場合もある。江戸時代までは貴人に茶を献じることを献茶といい、『日本後紀』二四には僧永忠(七四三—八一六)が嵯峨天皇に梵釈寺で茶を献じたとあり、また豊臣秀吉は禁中で茶会を開き正親町天皇に茶を献じた。明治以降は神仏に茶を献じることを献茶と称するようになった。代表的な献茶式は表千家・裏千家・武者小路千家の三千家の菩提所である臨済宗大徳寺の開山忌で開かれる。浄土宗では御忌に知恩院が三千家の回り持ちで、増上寺・金戒光明寺の御忌、光明寺の十夜ではいずれも表千家長生庵により献茶式が執り行われている。増上寺の献茶式では本堂下陣側に台下(棚)を設え、その上に皆具(水指、杓立、建水、蓋置等)を整え、別に水屋を設える。天目茶碗と天目台を使用し、本尊前と大師前に濃茶と薄茶の二服を献じている。知恩院・増上寺御忌の日中法要では、茶湯器で献茶し、葬儀では奠茶の作法をしている。
【執筆者:渡辺裕章】