啓蒙随録
提供: 新纂浄土宗大辞典
けいもうずいろく/啓蒙随録
二巻(再版以降合冊)。大雲撰。明治五年(一八七二)~同六年刊行。浄土宗の法式に関する啓蒙の書。必夢の『諸回向宝鑑』に掲載されている偈頌以外の由縁などを初学者のために解説したもの。初編一には三宝、称謂(僧職名)、送終・追福・年忌・建塔(葬送儀礼)、諡号(法名と位号)。初編二には住所(伽藍名称)、法衣を記している。音訓読法(大雲点)の統一を図った大雲は、本書によって葬儀・法名・法服法などの意義を明らかにして法式教学の振興に努めた。『釈氏要覧』以来の、項目別による法式辞典といえる。なお、『明治仏教思想資料集成』所収の本書には「訓蒙十科」が付されている。明治維新期の学・行についての思想と廃仏毀釈を克服しようとする変動期の仏教徒の意識を伝えるものとして貴重である。
【所収】『明治仏教思想資料集成』二(同朋舎出版、一九八〇)
【執筆者:西城宗隆】