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弘誓

提供: 新纂浄土宗大辞典

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ぐぜい/弘誓

広大な誓い(誓願)の意味。弘願ともいう。初期仏典から大乗仏典まで広く使用される訳語。対応する原語は、Ⓢpraṇidhi(誓願)Ⓢpraṇidhi-bala(願力)Ⓢpraṇidhāna-viśeṣa(別願)Ⓢsaṃnāha-saṃnaddha(被大鎧)など。原語と訳語には直訳的関係はないが、各訳語には「上求菩提下化衆生」といった意味合いが共通する。浄土教との関わりでいえば、『無量寿経』二十二願の「衆生の為の故に、弘誓の鎧をて、徳本を積累し、一切を度脱し」(聖典一・二二七/浄全一・八)、同じく「四誓偈」後の「この弘誓を発す。この願を建ておわって、一向に志を専らにして、妙土を荘厳す」(聖典一・二三四/浄全一・一一)等が知られる。また、善導観経疏』玄義分には「弘願というは、『大経』に説くがごとし。一切善悪の凡夫、生ずることを得ることは、皆阿弥陀仏大願業力に乗じて、増上縁とせずということし」(聖典二・一六二/浄全二・二上)と説かれる。この釈は法然三部経大意』『往生大要抄』「三心料簡および御法語」「つねに仰せられける御詞」などにも引かれる。『四十八巻伝』二一にはこれを引いた直後に、法然の言葉として「予がごときの不堪の身は、ひとえにただ弘願をたのむなり」(聖典六・二八〇)を載せる。


【参考】香川孝雄『浄土教の成立史的研究』(山喜房仏書林、一九九三)


【参照項目】➡本願上求菩提下化衆生


【執筆者:中御門敬教】