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往生大要抄

提供: 新纂浄土宗大辞典

おうじょうたいようしょう/往生大要抄

一巻。法然述。浄土宗の教えを体系的に示そうとした文献。『和語灯録』一に所収。『四十八巻伝』一八にも一部抜粋して記されている。和語文献中では最も長大で、内容的にも高度なため、僧侶・貴族等の仏教的基礎知識を有した者に宛てたものと推測される。内容は最初に聖道門・浄土門、次に三心至誠心深心が説かれるが、ここで突然に終わっているため、道光も注している通り、本来はこの続きがあった可能性が高い。散逸部分では回向発願心や行論について詳述されていたと推測される。内容的にはいずれのテーマについても非常に詳しい解説が施される点に特色がある。また、至誠心熾盛しじょう心とは異なることや、三心の強弱で九品の相違が生ずること、信機が先で信法が後でなくてはならない理由など、法然教学上、注目されるべき説示が見られる。なお、一念義批判も見られるので、おおよそ『選択集』以後の成立と考えられる。


【所収】聖典四、昭法全


【執筆者:安達俊英】