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教団

提供: 新纂浄土宗大辞典

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きょうだん/教団

同一の教えを奉じる人々によって形成され、それに基づいて活動する集団・団体のこと。ある程度の組織化がなされている場合に教団と呼称することが多いが、明確な学術的定義が共有されていないため、宗教集団や宗教団体との意味上の差異を示すことは難しい。

[構成要素]

宗教的な活動は、寺院や教会などでの儀礼のように主として教団を母体とした集団によって営まれる。一方、瞑想祈りなど個々人を単位とする宗教活動も存在する。しかし、それらは個々人が属する教団によって示された宗教的信念や心情、作法などに基づきながら実践されるため、教団の影響下にあるといえる。教団は、教団が奉じてきた(奉じている)教義信仰対象の過去・現在を担う重要な要素であり、かつ、伝達・継承していくという意味で未来を担う要素でもある。教団は主として人的要素によって形成されるが、その他にも重要な要素を有する。E・ブリューワーやB・マリノフスキーによると、教団は①理念的イデオロギー的要素(=教義)②慣行的行為様式的要素(=儀礼行事)③人的組織的要素(=教祖信者)④物的道具的要素(=空間・施設・什器)によって形成される。これらの四つが相互に関わりあって初めて宗教活動は成立する。逆に言えば、これらのうち一つでも欠けることがあれば宗教活動は行えず、宗教活動を行わない教団は、定義上、教団と言うことはできない。また、教団は人間による集合体でもあるため、それ自体で社会的存在となり得る。ゆえに教団を考える場合には、宗教的な側面だけではなく社会的な側面から考察することも必要である。

[現代における教団

教団の諸形態は歴史的にみると、自然宗教集団から特殊的宗教集団への展開として捉えることができる。J・ワッハによると、自然宗教集団とは①血縁②地縁③類縁(性、年齢など)といった個々人にとっては所与の条件に基づいて形成される宗教集団であり、その集団が形成する社会そのものと同一のことが多い。古代ギリシャや古代の日本、農村・漁村などの地域社会などがそれにあたる。一方、特に近代以降における社会全体の機能分化に起因して形成されるのが特殊的宗教集団である。この場合には、社会=宗教集団という図式が成立せず、宗教集団は社会全体の一構成要素となっている点に特徴がある。つまり、社会全体のなかにおいて宗教という特殊な要素を担うという意味で特殊的宗教集団というのである。教団を取り巻く現代日本の社会状況としては、個人化の問題が大きくなっている。生活様式や住居、職業、人間関係などあらゆることが個人の選択に任されている現代社会において、寺院教団選択肢のうちの一つとして捉えられている。


【参考】小口偉一・堀一郎編『宗教学辞典』(東京大学出版会、一九七三)、星野英紀他編『宗教学事典』(丸善、二〇一〇)


【参照項目】➡宗教団体


【執筆者:江島尚俊】