往生要集披講の御影
提供: 新纂浄土宗大辞典
おうじょうようしゅうひこうのみえい/往生要集披講の御影
法然の御影の一つ。知恩院蔵。『四十八巻伝』一〇によれば、後白河法皇の勅請によって天台の学匠とともに、法然が『往生要集』を講じたとき、法皇は感激のあまり藤原隆信に命じて法然自らの姿を描かしめ、蓮華王院の宝蔵に納めたとある(聖典六・一〇六~七/法伝全四三)。藤原隆信は当代「似絵の名人」といわれ、肖像画の第一人者であった。蓮華王院は現在の妙法院三十三間堂であるが、その宝蔵から知恩院へ移された経緯は明らかではなく、また隆信が描いたとする根拠も見出し得ないが、鎌倉時代の大和絵風の肖像画であることは間違いなく、古来より「隆信の御影」ともよばれ、法然の御影の代表として尊崇されている。墨染の衣姿で上畳に坐す法然の前に書物が開かれている。【図版】巻末付録
【執筆者:成田俊治】