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似絵

提供: 新纂浄土宗大辞典

にせえ/似絵

鎌倉時代から南北朝時代にかけて流行した肖像画の一種。その主眼は対象とする人物に似せることにある。特に目・鼻・口などの特徴をとらえ、面貌が緻密に描き出されるところにあり、着衣は類型的に描かれた。この似絵藤原隆信にはじまり、その子信実によって大成された。信実作と推定されている『後鳥羽天皇像』は似絵の代表作の一つである。『法然上人御影』(知恩院蔵)も伝信実作といわれる。以後、この家系から藤原為信作『天皇・摂関・大臣影図巻』(宮内庁蔵)、豪信作『花園天皇像』(国宝、長福寺蔵)や一五世紀初頭の為盛と次第していくが、いずれも細線を引き重ね面貌の形を整え、対象とする人物の特徴をとらえている。


【参考】若杉準治『似絵』(『日本の美術』四六九、至文堂、二〇〇五)


【参照項目】➡信実の御影


【執筆者:成田俊治】