鉦
提供: 新纂浄土宗大辞典
しょう／鉦
念仏などを称えるときに用いる楽器。鉦ともいう。円形青銅鋳造の楽器。鰐口を半分にした形で、三つの足がついている。これを台座（畳）上に伏せて、上部を木製の丁字形の撞木で打つ鉦。この鉦は歌舞伎の下座音楽の楽器（一ツ鉦、まつむし）と木鉦にも影響している。『法要集』（昭和一四年版）には鉦鈷とあり、『法要集』（昭和五九年版）で鉦とした。伏鉦とも書いた。『持宝通覧』中には叩鐘・鉦鼓とし、鐘を打って念仏を勧めるのは智顗が臨終のときに鐘磬の声を聞けばその正念が増すとしたからという説や、空也が鰐口の鐘を二つにして片鐘を頸に懸けてこれを打ちながら念仏を称えたからという説を挙げている（一八オ）。日常勤行式での犍稚法は、摂益文・念仏一会・総回向偈と十念後に正宗分の終わりとして三下する。念仏一会の犍稚法は、句頭で一下し、同音二唱で各一下し、その後おもむろに一唱を三下する。終わり三唱ほど小さく、最後の一唱は大きく三下する。
【参考】千葉満定・中野隆元『浄土宗法要儀式大観』（名著普及会、一九八七）
【執筆者：西城宗隆】
