犍稚
提供: 新纂浄土宗大辞典
かんち/犍稚
法要などで用いられる打楽器。犍椎とも書き、犍槌、犍遅ともいう。Ⓢgaṇḍiの音写。鐘、磬、打木、声鳴などと意訳される。釈尊在世当時、説法の開かれるその時々に、諸人や弟子達を集合させる合図として鳴らされたもので、漆樹・毒樹を除いた木材や、のちには銅・鉄等の金属類などが用いられた。現在は法会・講演などの集合の合図、僧衆の進退動作の指示、その他、誦経念仏・音声・譜節の拍子旋律に合わせるためのもの、また諸仏菩薩等の来臨降道場を願うための意味をも含む鳴り物(打ち物)すべてを犍稚物という。浄土宗で用いられている主な犍稚物は洪鐘、版木、雲版、魚版、法鼓、喚鐘、大鏧、小鏧、磬、引鏧、木魚、割笏、鉦、鈸、鐃、太鼓、笏、双盤、鈴、錫杖、槌砧、戒尺等があり、それぞれに犍稚法が定められている。
【参考】千葉満定・中野隆元『浄土宗法要儀式大観』(名著普及会、一九八七)、『法要集』
【参照項目】➡犍稚法
【執筆者:岡本圭示】