いぞう/倚像
仏像・仏画などの一形式で、椅子・台座などに腰を下ろしている姿を表した像。両足をそろえた並脚像と、足首を交差させた交脚像の大別二種が存在する。グプタ朝では並脚倚座の如来像が生まれ、釈尊や弥勒如来の説法像として信仰された。日本にも飛鳥・奈良時代に伝えられている。日本では椅子を用いる文化が定着しなかったためかあまり普及せず、鎌倉時代以降、中国文化の影響の強い禅宗寺院を中心に主として高僧像の一類型として受容された。津市・成願寺(天台真盛宗)蔵の阿弥陀如来倚像(国重要文化財)は有名。
【執筆者:近藤謙】