来迎印
提供: 新纂浄土宗大辞典
らいこういん/来迎印
『観経』に説く九品往生による阿弥陀仏が結ぶ九品印の一つで、上品・中品・下品のうち各下生のものを総じていう。名称の由来は、阿弥陀来迎図に描かれた阿弥陀仏の多くがこの印相を示していたためとされる。第一・二指を捻る上品、第一・三指を捻る中品、第一・四指を捻る下品の三形状があり、現存する絵画および彫刻の作例に見られる多くは、第一・二指を捻る上品下生印のものである。特殊なものとして、真如堂式阿弥陀如来像に見られる印相や、兵庫県小野市浄土寺浄土堂阿弥陀如来および両脇侍立像(国宝)の中尊像に代表される逆手来迎印などがある。
【参考】光森正士「阿弥陀仏の印相図解」(奈良国立博物館編『阿弥陀仏彫像』東京美術、一九七五)
【執筆者:藤田直信】