弔い上げ
提供: 新纂浄土宗大辞典
とむらいあげ/弔い上げ
法要を営む最終の年忌のこと。揚斎、揚供養、揚法事などともいう。トムライシマイ、トイキリ、トイドメ、ネンキアゲ、アゲホウジなど地域により呼称は様々であり、また弔い上げを三三回忌、五〇回忌、一〇〇回忌とするなど地域によって差異が見られる。民俗学での理解では、亡くなったばかりの死者の霊は荒々しい性格を持ち生者に災いをもたらす可能性を持つ存在であるが、子孫からの供養を受けることにより段々と清まり子孫を守護する存在になっていき、弔い上げを機に個性を失った集合的な先祖霊である「祖霊」に昇華するとされている。その証左として、戒名の記された位牌から先祖代々の位牌へと変えられること、また平素あげる塔婆とは異なりウレツキトウバなどと呼ばれる生木や枝葉の付いた塔婆をあげる地域があること、石塔を倒す地域があることなどが報告されている。
【参考】佐藤米司「弔い上げ」(井之口章次編『講座日本の民俗三 人生儀礼』有精堂、一九七七)、五来重『葬と供養』(東方出版、一九九〇)
【執筆者:名和清隆】