修行や祈願のために、一定の期間食事を断つこと。インド古来の苦行法の一つで、ジャイナ教などでは苦行の重要な手段として実践されている。仏教では、釈尊が苦行の一つとして実践し、後に苦行の無益さを悟り放棄した。ただし、苦行は否定されたが、修行の一種としての断食は仏教に受容された。主に密教などで、祈願成就のため、大小便などによって身体が穢れるのを防ぐため、あるいは病気治療のために断食が実践された。また、断食の一種として、塩や穀物を断ったり、木の実のみを食する木食もくじきなどがある。
【執筆者:榎本正明】