大念・小念
提供: 新纂浄土宗大辞典
だいねん・しょうねん/大念・小念
称名念仏の音声の大小のこと。懐感『群疑論』七では、『大集経』日蔵分念仏三昧品の「或は一日夜、或は七日夜、余業を作さず、至心に念仏すれば、乃至仏を見る。小念は小を見、大念は大を見、乃至無量念に仏の色身無量無辺なるを見る」(正蔵一三・二八五下)という記述を「大念は大仏を見、小念は小仏を見る。大念とは大声に仏を称するなり。小念とは小声に仏を称するなり」(浄全六・一〇六上~下/正蔵四七・七六下)と解釈し、励声をもって念仏すれば三昧を得やすく、小声をもって称仏すれば馳散が多いことを説いている。法然は『選択集』三において念声是一論の典拠として『大集経』と『群疑論』のこの部分を引用して、「念はすなわちこれ唱なり」(聖典三・一二二/昭法全三二一)と述べる。なお『大集経』と『群疑論』をあわせた引用は源信『往生要集』や永観『往生拾因』にも見られるものである。
【参照項目】➡高声念仏
【執筆者:大屋正順】