西山浄土宗
提供: 新纂浄土宗大辞典
せいざんじょうどしゅう/西山浄土宗
証空の教系を継承する宗派のこと。証空が西山善峰の北尾往生院を本拠として教化したことから称せられる宗名で、総本山は長岡京市粟生の光明寺である。証空の門弟は二七名を数えるが、西山四流は証慧の嵯峨義、証入の東山義、浄音房法興の西谷義、立信の深草義である。西谷義は光明寺と永観堂禅林寺に、深草義は京極誓願寺に継承する。この他に法興の門下の了音は六角義、示導は本山義を開き、あわせて西山六流ともいう。この中、嵯峨義と東山義は南北朝時代の末、すでに教勢が衰え、本山義も法統は絶え、六角義も西谷義に合流している。法興は証空と血縁の久我一門の出身で、一三歳のときに証空の弟子になり、後に光明寺と禅林寺を歴住する。弘長元年(一二六一)仁和寺の西谷に光明寺を建てて教義を宣布したので地名にちなんで西谷義と称する。廃立・傍正・助正の三重名目をもって、偏依善導一師の義を明らかにするのを教義の特色とする。
【執筆者:中西随功】