一巻。良厳慈観撰。正中二年(一三二五)一〇月作。名越派尊観が白旗派良暁に対して論難した宗義一六箇条について、両派の中立的な立場から一念業成と多念業成の会釈をはかったもの。内容は、一六箇条の要点を概括して、両者には主に三心具足念仏業成と九品来迎仏身報化の二つの相違点があると論じるが、両者の所説は各一義によるとして、両者を調和する説明をしている。本書は近江国河瀬の報恩寺で熊野参詣に行く兄弟弟子の鏡智に与えたものである。
【所収】続浄一〇
【参照項目】➡一念業成・多念業成
【執筆者:𠮷水成正】