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影向

提供: 新纂浄土宗大辞典

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ようごう/影向

神仏が本来の居場所を離れ有縁の人前に姿をとって赴くこと。えごう、ようこう、えいこうなどとも読む。例えば「又上人ある時、叡空上人ならびに西仙房とともに、おこないたまいけるに、山王影向して、納受のかたちをあらわし給けり」(『四十八巻伝』七、聖典六・七一/法伝全三〇)、「誠に来迎引接の願もこの所に影向をたれ、摂取不捨の光も此大臣を照し給ふらむとぞみえし」(『平家物語』三、『日本古典文学大系』三二・二四八)など。春日大社には春日大明神が降臨し万歳楽を舞ったという影向の松があり、能舞台の鏡板の松はこの松を描いたものとされる。各地に影向石などの神仏が顕現した事蹟が存在し、その地に寺社が建立されることも多い。また仏法教化讃歎するために仏・菩薩が付き従うことを意味する影響ようごうも向を仮借して影向と書く場合がある(例、浅草寺影向堂)。


【参照項目】➡影向石


【執筆者:小澤憲雄】