仏に帰依するの意。南無について善導は『観経疏』玄義分に「南無と言うは、すなわちこれ帰命、またこれ発願回向の義」(聖典二・一八二/浄全二・一〇上)という。仏に帰命する功徳としては『増一阿含経』(正蔵二・八〇四下)に提婆達多が堕地獄の間際に南無仏と言いかけた果報で遠い未来に「南無」という名の辟支仏びゃくしぶつになる話があり、『法華経』方便品には「一たび南無仏と称すれば皆已すでに仏道を成ず」(正蔵九・九上)と説かれる。また智顗『法華文句』(正蔵三四・五七中)に詳説される。
【執筆者:小澤憲雄】