帝釈天
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:28時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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たいしゃくてん/帝釈天
バラモン教の聖典『リグ・ヴェーダ』に登場する、勇猛な武勇神として活躍するインドラ(ⓈIndra)神。後に仏教に取り入れられ、守護神として崇められるようになった。雷を人格化した神とされ、梵天とともに天(神々)のなかでは最高の存在とされる。インド・アーリアンの理想的な武人の姿を表しており、神々の中の王であるシャクラ(Ⓢśakro devānām indraḥ)と表現される。インドラの異名シャクラを音写して「釈」とし、インドラは名前であるとともに「帝王」を意味するので、これらの語を「帝釈天」と漢訳したとされる。仏典では釈提桓因、天帝釈などとも表される。仏教に取り入れられてからは三界中の欲界(欲望に満ちた世界)の第二天である三十三天(忉利天)の主ともされ、世界の中央にそびえるとされる須弥山の頂上にある善見城に住み、四天王を部下に従え、須弥山世界を守護しているという。『雑阿含経』四〇(正蔵二・二九〇中~下)にその由来が説かれる。密教では十二天の一つに数えられる。阿修羅と争い、降伏させる話はよく知られている。手には金剛杵を持ち、甲冑を身につけており、三本の牙を持つ白象に乗るものもある。柴又帝釈天(題経寺)が有名。
【執筆者:吉澤秀知】