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退縁

提供: 新纂浄土宗大辞典

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たいえん/退縁

退転の因縁のこと。仏道修行において行者不退転の位にいたるのをさまたげる因縁をいう。迦才浄土論』上に「若し西方に生ずれば、五退縁無きに由るが故に退せざるなり。五退縁とは、一に短命多病、二に女人あり及び生は六塵に染まる、三に是れ悪行の人、謂ゆる悪知識、四に是れ不善及び無記の心、五に常に仏にわざるなり。浄土の中に此の五の退縁無し、故に畢竟じて退せざるなり」(浄全六・六三四下正蔵四七・八七上)とあり、このように浄土には、五種の転落退堕の悪縁、つまり退縁がないので、不退転位に住することができるとしている。また基の『西方要決』(正蔵四七・一〇七中)によると、浄土往生すれば、五種の退縁(ここでの五退縁の内容は上記のものと類似している)がなく、また五種の善縁(①長命無病、②勝侶に提携す、③純正にして邪なし、④唯浄にして染なし、⑤恒に聖尊につかう)があることにより、不退転位に住するという勝益が得られるとしている。


【資料】『糅鈔』八、『大経直談要註記』一〇


【参照項目】➡不退転


【執筆者:薊法明】