妙真尼
提供: 新纂浄土宗大辞典
みょうしんに/妙真尼
一二世紀頃、生没年不明。法然に帰依した尼僧。伊豆国走湯山(静岡県熱海市伊豆山)に住み、もっぱら『法華経』を読誦し、兼ねて密教の行も修していた。しかし上洛したときに法然のもとに参じて念仏往生の教えを聞いた後は、余行を捨てひとえに念仏を行じ、その功徳が積もってつねに化仏を見ていた。あるとき明日午後四時頃往生すると告げ、翌日時刻に違わず端座合掌し高声念仏して往生を遂げたという。『九巻伝』四下には、熊谷直実が法然の念仏弘通の次第を京都から下って来た尼に聞いた後に上洛したことを記すが、この尼が妙真尼である可能性も考えられる。
【資料】『四十八巻伝』二四、二七(聖典六)、『翼賛』二四(浄全一六)、『念仏往生伝』(『往生伝 法華験記』日本思想大系七、岩波書店、一九七四)
【参考】家永三郎「金沢文庫本念仏往生伝考」(『中世仏教思想史研究—改訂増補版—』法蔵館、一九五五)
【執筆者:山本博子】