名号実相
提供: 新纂浄土宗大辞典
みょうごうじっそう/名号実相
名号の持つ力用を表したもの。聖冏が『釈浄土二蔵義』二九において『観経』の「諸法実相除滅罪法」を注釈したときに用いた語。すなわち聖冏はこの語について「何ぞ念仏の功徳を説かざるや。答う。名号は是れ名、仏体は是れ体、実相は是れ義、滅罪は是れ用なり。且く総の義を説けれども総の名に違せず、名体義用不即不離なるが故に。云云 或は可し、穢土にして相の名号を説き、浄土にしては即の実相を説かん。是の如く即相の真宗を顕わさんが為に仏能く至極無生清浄の名号を成就し、見生の濁水立地に即ち無生の清水と成る。名号実相、蘆華明月、見生無生、不脱殼龍なり」(浄全一二・三三四上)と名号と実相の関係を説いている。この説は『観経』の下品下生の滅罪について名号と実相を体と用の関係ととらえ、相の名号と即の実相と同一であると解釈している。これは聖冏が往生を表現する語句である見生無生の義を表すと共に、名号の勝義を示している。
【執筆者:服部淳一】