報恩論
提供: 新纂浄土宗大辞典
ほうおんろん/報恩論
四巻。清・沈善登(一八三〇—一九〇二)述。上下二巻のほか、巻首と巻附から構成されている。沈善登当時の浄土と禅、仏法と世法(儒教)の分離状態を批判し、如来の教えの本旨を明らかにした書。著者は江南地域の有名な居士。巻首には乾隆帝までの清朝歴代皇帝の仏教言説、浄土系経典と著者の問答が録されている。また巻首には、光緒二三年(一八九七)、著者を含む五人が杭州の聖恩寺で念仏写経の結壇修行を五三日間続け、その期間中に本論を著し、その後弟子が附論を加えて本書を編纂したとある。沈は真宗大谷派の僧との交流があり、本論にもその影響がある。また、楊文会への書簡も付録にある。
【所収】続蔵六二
【執筆者:陳継東】