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牛念仏

提供: 新纂浄土宗大辞典

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うしねんぶつ/牛念仏

三重県松阪市法田町の貞松寺(浄土宗)と長楽寺真言宗)で行われている念仏行事。貞松寺五世運誉万雄の代(宝永三年〔一七〇六〕—享保一三年〔一七二八〕)に、法田町一帯に牛を中心とした家畜類に疫病が流行したので、それを祓うために「百万遍念仏数珠ずず繰り」を執り行い祈願したことから始まる。毎年八月一六日午後早々より夕方にかけて開催される。まず貞松寺本堂内において「奉修家畜一切病息消滅牛念仏百万遍奉修」と書いた位牌をまつり、在家信者によって念仏数珠繰りが行われる。その後、長楽寺へ一同が参詣・祈願し、長楽寺大日堂に安置されている大日如来像を木版刷りしたお札を授かり、主に各家の牛小屋などに貼り付ける。本来は家畜の病息平癒を願う意味があったが、現在ではそれと並行して家内安全や五穀豊穣を祈願するようになっている。浄土宗念仏真言宗護摩焚きが併存していることが特徴。


【参考】佛教大学民間念仏研究会編『民間念仏信仰の研究 資料編』(隆文館、一九六六)


【参照項目】➡民間念仏


【執筆者:齋藤知明】