いりとうせっかい/為利倒説戒
『梵網経』に説かれる四十八軽戒のうちの第一六戒。自身の利益のために教えの意味を意図的に変えて説くことなどを禁止するもの。『梵網経』では、仏の弟子たる者は進んで大乗の経律を学ぶべきであるとし、自分の身体を傷つけてでも諸仏などに供養すべきことをすすめ、自身の利益を得ようとして質問に答えなかったり、意味を逆転させて説いたり、三宝を誹謗したりしてはならないとする。この戒に違反した場合は軽垢罪に当たる。
【参考】恵谷隆戒『改訂円頓戒概論』(大東出版社、一九七八)
【参照項目】➡四十八軽戒、軽垢罪
【執筆者:山極伸之】