「上棟式」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:25時点における最新版
じょうとうしき/上棟式
建築儀礼の一つ。建築の途上で棟木を構築するときに行う儀式。俗に棟上式、建前ともいう。木造建築以外で棟木がない場合も、主要架構工事を終えたときに行う。上棟式は建築半ばにして棟木が上がったことを祝うとともに、竣工に至るまでの工事安全と永久に禍災ないことを祈願する儀式でもある。一般家屋の造営では、地鎮祭に始まって上棟祭で終わるので、上棟祭が最も重要な儀式である。上棟式は神道儀礼や世俗慣習の影響が大きく、匠長儀礼が行われることもある。上棟式の儀礼は地鎮式に準じ三部構成からなり、仮本堂で上棟式挙行の旨を奉告し(序分)、式場にて上棟式を修してから匠長の儀礼(曳綱の儀・槌打の儀式・撤餅・撤銭)を行い(正宗分)、仮本堂で無事円成の奉告の回願を行う(流通分)。式場は足場の上に設けて壇を作り、その中央に仏像または名号を奉安し、傍らに棟札を安置する。『法要集』(昭和一四年版)は、五色の大幡幣に浄鏡、扇子車を付け、これに大麻を結んで本尊として奉安したが、現行の『法要集』ではこれを仏像に改め、破魔矢・破魔弓なども記していない。棟札は工事の由緒・年月日・建築者・工匠などを記して、後世の記念として屋根裏または棟木に固定する札であった。次第に祈願の形式をとるようになって祝聖文・恢廓広大の文などを記し、さらにその祈願が本尊への祈願となり、名号などを記載するようになった。
【参考】板倉貫瑞『蓮門小子の枝折』(浄土宗宗務庁、一九七一)、『江東浄青 法式講習会資料集』二(東京教区江東組、一九八八)、『図説 浄土宗の法式』三・法要篇Ⅱ(斎々坊、一九九二)
【執筆者:西城宗隆】